弁理士試験 × 合格率

私は弁理士試験対策をしている方に「がんばれ」と軽々に言わないようにしている。

本人の実力や努力では克服が難しい「運」の要素が非常に大きいと考えるからである。この「運」については対策のしようがないし、頑張りようがない。

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更に一年に一回しか受験できない。頻繁に試験が開催されているTOEICやHSKとはプレッシャーの量も質が根本的に異なる。何かを犠牲にしなければ挑めない試験だ。心の入っていない他人の励ましなど気休めにもならない。

平成28年度弁理士試験最終合格者統計によれば、今年の弁理士試験の合格率は7.0%。この合格率は以下の確率とほぼ同じである。

勝率1/2のゲームで4連勝する確率6.25%(1/2の4乗=6.25%)

「じゃんけんで四連勝したら良いことあるよ。しかも四連勝するまではひたすら努力するしかない。でもチャンスは一年に一回だよ。」と言っているようなものである。普通に考えるとこんな不公正な勝負、誰も挑まない。多くのものを犠牲にしながら必死に戦っている受験生の競争の中で「勝率1/2」を獲得するのも難しい。熾烈な争いである。たとえ合格率が数倍に増えても真剣勝負であることは変わりない。

弁理士受験生時代にお世話になったS講師がパテント誌に寄稿されていたエッセイ(パテント誌2004年7月号)、弁理士試験というものを的確に表現されている。ご一読されることをお勧めする。

私を含めて幸運にも(幸運だけで)弁理士試験というハードルを越えてきた者ができることは無責任な励ましをかけることではない。常に己のレベルアップを図り、「さすが弁理士試験合格者」といわれるようなスタンダードを高く保つことだ。後進の努力が報われるように。

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