本記事は、TOEIC(R)のスコアレンジの上限(990点)に対応するレベルと他の英語リソース(例:実用英語や他の試験)と対応関係を示す一つの参考資料です。執筆者の実力の誇示のためのものでも、TOEIC(R)の権威の毀損を意図したものでもないことをご理解ください。 |
世界一熾烈な競争が繰り広げられているといわれる中国のセンター試験「高考」(全国普通高等学校招生入学考試)。入試当日は特別な緊張感が中国の街全体を覆う。受験者数980万人(日本のセンター試験の18倍)、一人っ子政策で親からの注目をそらせない子供たちは、受験勉強と関係のないクラブ活動はせず早朝から深夜までの全てを受験対策に捧げなければならない。日本のような、個別の事情を考慮し過ぎた玉虫色の政策の産物である「ゆとり教育」「創造性をはぐくむ教育」「人間性教育」「ボトムアップ」、果ては「推薦入試」「一発芸入試」といった不明確さはない。中国の一発勝負、残酷だが公平だ。
こんな試験を突破してきた中国の知識人層に、個人的に地頭で勝てる気が全くしない。
TOEIC(R)990点獲得者が2017年の高考の英語(北京)を解く。全ての選択問題で正答は導き出せたが、常時100%の確信を持って回答したわけではない。作文問題は採点方法が分からないので正答か否かは不明。リスニングは音源を得られなかったので今回は解いていない。
1.選択問題
日本のセンター試験の選択問題の回答数は55。一方で中国の高考は75。各問題の難易度や性質が異なるので単純に比較はできないが、中国の高考の方が「脳みそに対する負荷試験」という側面が強いと思われる。
21 | 筆記の一問目、いきなりのワレモン。問題を見た瞬間、(A)背が高い彼は棚の上の本に届くことができる、か、(B)背が高い彼は棚の上の本に届くはずだ、のどちらを浮かべるかがポイント。運悪く(B)に思考がロックされてしまった場合はこの問題は不正解となる。 |
33 | 引っ掛け問題。テクニックに頼ってイディオム問題との決めつけると不正解となる。 |
35 | イディオム問題。日常生活では、どの前置詞でも良いような気がする。 |
40 | 後方のセンテンスのin themから正答を推測する難問。長文問題の途中にこの手の問題が出てきたときに集中力を高めて取り組めるかがカギ。 |
48 | これも難問。二つ前のセンテンス中の表現を見つけなければ正答を導き出せない。基本的に該当センテンス中だけの表現で正答を導き出せるTOEIC(R)と異なる。 |
60 | 言い換え問題。この手の問題は確信をもって回答できないところで不安が残る。 |
2.作文問題
50~60英文字の作文が2題。日本のセンター試験にはない形式の問題。内容が非常に高度であることに加えて回答時間15~20分と短い。相当量の訓練を積んでおかないと、最低文字数に達することも困難である。
第42題、レター問題。これは受験対策すればなんとかなる。一方で第43題の状況描写問題は、かなりの語彙数を必要とする。英語上級者でも苦労する。
何百万人もいる受験生の人生を決める採点において、採点者の主観を完全に排除できない作文の採点方法は気になるところである。
3. リスニング問題
全20問。リスニング音源を入手できなかったため今回は省略。
4. 教材としても高考
毎年、何百万人もの受験者のいる高考。その問題はかなりの精査と計算の上に作成されたものと想像される。TOEIC(R)対策においても英語学習の角度に変化をつけるための教材として高考に挑戦することもアリだと思われる。
※参考:2017年大学入試センター試験(独立行政法人 大学入試センター)
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